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2018-03-13246 view

地元と共に歩む「坂利製麺所」で、絹のようなそうめん作りをお手伝い【奈良県トライアルステイ体験記③】

奈良県・東吉野村のトライアルステイも、早いものでもう半月が経ちました。
ここでの生活も徐々に慣れてきて、お手伝いしている坂利製麺所でのそうめん作りもなんとかこなせるようになってきました。

ところで、皆さんは「そうめん」がどのようにして作られているのかご存知ですか? まずはこちらの動画をご覧ください。

夏の風物詩ともいえるそうめんは、毎年10~4月頃に製造を行います。
今回は、東吉野村でそうめんを作り続けて33年の「坂利製麺所」についてご紹介! どうやってそうめんが作られるのか、どんな想いを込めて作られているのか、お聞きしました。

坂利製麺所が生まれた理由

今回、坂利製麺所常務の坂口利勝さんにお話を伺うことができました。

シェアハウスの裏にある坂口さんのご実家にてインタビュー

坂利製麺所は今年で創業33年目。もともと、ここ東吉野村滝野地区で代々林業を営んでおり、今は林業と製麺所の2つを生業としています。

創業した頃はちょうど、住宅建築のメインが木造でなくなってきた時代。林業は衰退の一途を辿っていました。また、林業自体が冬になると閑散期を迎えることもあり、当時の県の政策で「冬場の仕事を作ろう!」という動きが発生。林業を営む人が多い東吉野村や他の山間部へ向けて、そうめん作りの研修プログラムが生まれました。

それを知った坂口さんの母・坂利製麺所の創業者である坂口良子さんが、東吉野村を過疎化から救いたいという思いでこのプログラムへの参加を決意。他の地域からも「やりたい!」という人が出てきて、坂利製麺所が生まれました。

創業当時の写真

しかし、そうめんの製造は簡単ではなく、経営はうまくいきませんでした。

失敗を経験した良子さんは、その後、そうめん製造のために買って余っていた油を家で使用したところ、その油が全く美味しくないことに気づきました。「私はこんな素材を使ってそうめんを作っていたのか」と驚いた良子さんは、そこから素材を国産のものにこだわり、油もごま油へと変更。試行錯誤を繰り返し、今の坂利製麺所のそうめんの味へと辿り着きました。

その気持ちは、当時子どもだった利勝さんやご兄弟に、安心して食べてほしいという想いから生まれたものだったそうです。やっぱり子を思う母の気持ちはすごいですね!

幼い頃の利勝さん(中央)

地域と共に歩む坂利製麺所の想い

利勝さんのお話の中で印象に残っているのが、

「最近、東吉野村に面白い動きをしている人たちが集まってきているんだ。若い人が集まっていろんなことにチャレンジしている。移住してきた人たちの活動、すごいと思わない?」

と、今の東吉野村について語っていたことです。

地域と移住者のハブになっている『OFFICE CAMP HIGASHIYOSHINO』

ここ最近、東吉野村にはデザイナーや写真家などのクリエイターが多く移住してきており、日夜いろんな人が巡り会っては新しいことを考え、チームを組んで実行しようとしています。

利勝さんは、そんな風に村を盛り上げてくれる人を応援したいという気持ちと、もっと東吉野村のことを多くの人に知ってもらいたいという思いから、坂利製麺所でのトライアルステイの受け入れを始めたのだそう。

坂利製麺所の理念の根底にある「地域と共に」という気持ちは、この地で林業を営んできた経験や、子どもたちや村のことをとても大切にしてきた母・良子さんの思いを引き継いでいるのかもしれません。

できた姿は絹のよう? そうめん作りのお手伝い!

さて、東吉野村にやって来て、早速製麺所のお手伝いをすることになった私。

そうめん作りはテレビでもよく「まるで絹を織っているかのよう」などと例えられますが、本当はどうなのでしょうか?

まず目にしたのは……小麦粉の塊!?
「この塊が本当にあそこまで細くなるの? 大丈夫?」と思うほどの膨大な生地を、一日かけて少しずつ伸ばしていきます。

生地は湿度と気温によって驚くほど状態が変化するので、常に真剣な作業が続きます。

そのため、その日の状況に合わせて、仕事の流れが大きく変わることもしばしば。

熟成の状態を判断するのは、工場長と、私がシェアハウスで一緒に暮らしている倉本さん。

倉本さんは朝の出勤が早いため、シェアハウスにいるときはなかなかお話ができなかったのですが、常に私のことを気にかけてくれるとても優しい方。村に来たばかりでまともな食材を持っていなかった私に「ちゃんとご飯食べてる?」と声をかけてくれたり、高見山に登る前に「今週のこのタイミングなら登れるんじゃない?」とアドバイスをくれたりしました。

元になる生地を少しずつ伸ばしていくと、ついにそうめんが「絹」のような姿に!
生で見るとTV以上に絹糸感が強く、本当に見惚れてしまいます。

普段そうめんを食べるとき、「綺麗」だなんて全く感じたことはなかったのですが、今回トライアルステイでお手伝いしたことによって見方が大きく変わりました。坂利製麺のそうめんは、もはや一種の芸術の域にまで達しているのではないでしょうか?(笑)

さいごに

東吉野村に来てからというものの、毎日新たな出会いや発見だらけの生活を送っています。

現在も、平日は基本的に坂利製麺で働かせてもらっているのですが、最後の工程を経て細いそうめんが出来上がる瞬間は、まさに感動もの。よくここまで成長したなあ! と愛着が湧いてくるんです。

そして、このそうめんのように、村の人の想いや坂利製麺の方々の努力が脈々と受け継がれてきたからこそ、今の美しい東吉野村の姿があるんだなと実感しました。

さて、いよいよこの連載も4本目となる次回の記事は、「東吉野村に住む面白い人々」をご紹介したいと思います。どうぞお楽しみに!

ライター:小林なつき

東京都在住旅人見習い。生粋の猫好きで8匹の猫と共に暮らす。子どもの頃に大阪〜東京縦断の旅をして旅人に憧れる。現在は自然と文化と動物を追い求めて全国を回っています。 Instagram:natt_kk_p Twitter:@Nattphotogra

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