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すごい旅の話

2017-06-201580 view

「日焼け止め1滴でも、サンゴにとって害になる」宮古島の海を愛する男・ひでちゃんが、旅人に伝えたいメッセージ

はじめまして、ライターのイソカワルリコです。

沖縄で3番目に大きい島、「宮古島」を訪れたことはありますか?

宮古島の周囲には大小7つの島々があり、宮古諸島と呼ばれています。

宮古島の魅力は、なんといっても、その海の美しさ。

日本に生息するサンゴ約400種類のうち、宮古島では約350種類のサンゴが生息しているといわれています。

一度訪れた旅人は、サンゴと海の美しさに惹き込まれ、なかには移住を決意する人もいるほど。そんな宮古島を旅した私は、あるひとりの男性に出会い、海の真実を知ることになりました。

宮古島で生きる、ひでちゃんとの出会い

宮古島に来たからには「海で泳ぎたい!」と思っていたわたしは、地元でシュノーケルガイドを行っている、”ひでちゃん” のウミガメ観察ツアーに参加しました。

10年前、出身の長崎で中学の英語教師をしていたひでちゃんは、離婚を機に宮古島へ移住を決意。

「宮古島に移住した当初は、人生山あり谷ありの谷の状態で、最初の1年はずっと海で遊び呆けていたよ(笑)」と笑いながら話すひでちゃん。

オーストラリアの語学学校に通っていたころ、同じ寮にいた海洋生物学の学生と交流しながら、海やサンゴの知識を深めていったそう。

宮古島に移住して2年後、まわりからの応援もあって、個人のシュノーケルガイドを開始。2017年の今年、45歳を迎え、ガイド歴は7年目となります。

わたしが申し込んだ “ウミガメ観察ツアー” は、野生のウミガメが生息する場所で行なわれます。風向きによっては海に入られない場合があり、ウミガメが必ず現れる保証もありません。

参加した日もやや風が強く心配だったのですが、ぎりぎりまで風向きを見極めてくれたひでちゃんのおかげで、念願かなってウミガメと泳ぐことに成功!

わたしが一緒に泳いだウミガメの名前は、マルガリータちゃん。

数年前、初めて出会った際にひでちゃんの頭にそっくりだったことからそう名付けられました(笑)。それだけ長い付き合いだから、ウミガメも安心して心を開いてくれるのだそう。

宮古島の海が抱える、深刻な問題

ひでちゃんと子どもだったころのマルガリータちゃん

今日はウミガメを見られて本当に楽しかったです! ありがとうございます!

こちらこそ、一緒に泳げて楽しかったよ。でも最近はウミガメの命が危ぶまれる、悲しい出来事が相次いでいるんだ。

どういうことですか?

ここ数年はね、ウミガメの生態をよく理解していない旅行者が増えて、ウミガメの餌となる海藻を踏み荒らしてしまう問題が起こっているんだよ。

海藻がなくなったら、ウミガメは海で生きられないですよね……?

そうなんだよ。だからとっても深刻な問題なんだ。

いくら楽しい旅行とはいえ、その土地の自然を荒らすようなことをしてはいけませんよね。ウミガメの命を守るために、わたしたち旅行者が気をつけられることはありますか?

サンゴや海藻は、ウミガメや魚にとって無くてはならないもの

ウミガメの餌となる海藻は、サンゴのまわりや浅瀬の場所にもたくさん生えているんだ。海藻は小魚にとっても、外敵から身を守るための重要な役割があるから、海に入る時は、足元にサンゴや海藻がないかをよく確認してから入ってほしい。

そしてサンゴの上では、絶対に足を着いたり立ったりしないこと。足が着かなくて不安な人は、ライフジャケットを着用すれば海面に浮いていることができるし、さらには水難対策にも繋がるんだよ。

岩だと思って足を着いたらサンゴの上だった、ということもあり得そうだし、充分に気をつけないといけないですね。他にはなにかありますか?

サンゴにとっては、日焼け止め1滴でも害になることがあるんだ。そのせいでサンゴが弱りはじめて、白化したサンゴが年々増えているんだよ。

日焼け止め1滴でも、サンゴにとって害になる

Aは色鮮やかな健康なサンゴ。Bは白化してしまったサンゴ。

たった日焼け止め1滴でも、サンゴにとって害になるんですか!?

もちろん、オーガニックの日焼け止めなら問題はないよ。

でも、ドラッグストアなんかで市販されている日焼け止めのほとんどが、水質悪化に繋がる化学薬品を含んでいて、サンゴにとって害になることがあるんだ。

死滅して真っ黒になったサンゴ

白化したサンゴが黒くなっていく速さは、そりゃあすさまじいよ。場所によっては宮古島にある枝サンゴの7割が死んだともいわれているんだ。

全然知りませんでした……。今日一緒に泳いでくれたウミガメのためにも、今度からオーガニックの日焼け止めを使うようにします。

※環境毒物学専門誌『Archives of Environmental Contamination and Toxicologyに掲載された研究論文によると、化学物質「オキシベンゾン(ベンゾフェノン-3、BP-3)」は、世界中の3500以上に及ぶ日焼け止め製品に含有されているという。引用元:http://www.afpbb.com/articles/-/3063875

海に入るなら、ラッシュガードとウォーターシューズを着用すること。ラッシュガードには上半身用と下半身用があるんだけど、ケガから肌を守る目的のほかに、日焼け防止にもなるんだ。

ひでちゃんが上半身に着ているのが長袖タイプのラッシュガード

そして水温の低い12月下旬〜4月上旬なら、今日のようにウェットスーツを着用して、通年グローブもすれば、日焼け止めを使用するのは顔だけで済むよね。

そうやって、肌の露出が少なくなればなるほど、日焼け止めを塗る必要性が減って、海を守ることに繋がるんだ。

宮古島の海に漂着するゴミ問題

宮古島の海の問題にはもうひとつある。中国、台湾、韓国から漂流するゴミが大量に打ち上げられているんだよ。日本人が捨てたゴミも当然あるんだけど、海外からのゴミが圧倒的に多いんだ。

この写真はひどいですね……。

これはまだ少ない方だよ。漂着物のなかには注射器の針なんかもあって、誤って裸足で踏んでしまったら、ケガをする恐れもあって危ないんだ。

注射器を海に捨てるなんて、わたしには考えられない……。

 

ウミガメや魚が漂着物を誤って食べてしまうと、死んでしまうこともあるからね。だから宮古島の人たちは、定期的に集まってゴミを回収して、海の環境保全に取り組んでいるんだ。

宮古島の海がきれいなのは、島の人たちのおかげだったんですね。それを知ったら、今まで以上に感謝しないといけないなぁ。

そう言ってくれて嬉しいよ。ひとりでも多くの人に、宮古島の海を大切にしてほしいね。そんな優しい気持ちがある旅人なら、いつでも歓迎するよ。

旅先への感謝の気持ちを忘れないでほしい

シュノーケルを終えて満足したわたし

わたしはこれまでにたくさんの海を訪れてきましたが、恥ずかしながら、今回ひでちゃんが教えてくれたような海が抱える問題について全く知らずにいました。

ひでちゃんの話を受けて、今ある宮古島の海の美しさが、決して当たり前の光景ではないということを知り、「失いたくない」という感情がわたしのなかに芽生えました。

わたしたちが旅先を選ぶとき、訪れる土地の魅力や美しさばかりが目に入ることがあります。けれどその美しさの裏には、今回のサンゴの問題のように、まだ広くは知られていない問題も多く潜んでいるのです。

旅人は、単に日々の仕事や遊びの延長で旅先を訪れるのではなく、その土地に対する尊敬や配慮の気持ちを忘れてはいけません。

海にゴミひとつ残すことなく帰る。そんな小さなことでも、訪れた場所への感謝の気持ちを示すことができます。それができてこそ、本当の旅人といえるのではないでしょうか。

5年、10年、100年と、変わらずに美しい海があり続けますように。

そしてこの記事が、ひとりでも多くの旅人へ、届きますように。

サングラスを外してほしいと頼むと、はにかんで笑うひでちゃん

▼ひでちゃんTours宮古島
人気のツアーなので、予約はお早めに。お嫁さんも同時に募集中です(笑)
Facebookページ:https://www.facebook.com/hidechantoursmiyakojima/

ライター:イソカワ ルリコ

新潟県在住のフリーライター。旅と食べることが好きで、各Webメディアへ観光やグルメ記事などを寄稿。
趣味のカフェめぐりをきっかけに、ローカルメディア「暮らしミル」を開設し、好きなカフェや人に取材したインタビューを掲載中。

Twitter:@ruricocoa
暮らしミル http://kurashimiru.com/

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