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<特集>ラボたま×SAGOJOプロジェクト

2024-02-02

自然が豊かで暮らしやすい町。ランニングステーションの機能を備えた飲食店『門口寄居』が提案する寄居町の楽しみ方

埼玉県 北西部に位置し、都心部から70km圏内にある「寄居町(よりいまち)」

人口約3万人ほどののどかな町で、荒川の清流が秩父の山間から関東平野に流れ出す扇状地のように発展したため、清らかな水と緑に恵まれています。また、近年は「一年中桜に出会える町」としても有名で、約100種を超える桜が一年を通して咲き誇っています。

寺山さくら園の桜

そんな寄居町で、多様化するニーズに合う住まいづくりを実現するために、空き家の調査や移住・定住、シティプロモーションなどに取り組んでいるのが、地域デザインラボさいたま(以下ラボたま)です。

「ラボたま × SAGOJO」のコラボレーション企画として、実際に寄居町で空き家をリノベーションし、地域の中で活躍する方にインタビューを実施! 今回は、2022年6月に東京から寄居町に移住し、アウトドアアクティビティの拠点となる、ランニングステーションの機能を備えた飲食店 『門口寄居(かどぐちよりい)』のオープン(2024年秋予定)に向けて、古民家改修工事中の馬場 吉成さんにお話を伺いました。

▷【第1弾】「誰もがチャレンジできる場所に」建築家らが埼玉県 寄居町の共創型ローカルプロジェクトセンター『rutsubo』で、シェアキッチンを始めたワケ

▷【第2弾】「空き家は “地域の資源” になる」空き家コーディネーター 大田幸子さんが語る、埼玉県 寄居町の空き家の魅力

▷【第3弾】古い家とうまく付き合う。寄居町のカフェ『古民家クイジーヌうさぎのテーブル』から考える古民家の可能性

お話を聞いた人


馬場 吉成さん
1972年生まれ。東京都出身。機械設計者、特許技術者を経験し、現在は工業系ライターとして企業向け、メディア向けの記事を数多く執筆。ライター業と平行して、東京都板橋区で日本酒と発酵食品をメインとした飲食店を10年間経営。二拠点生活を経て、2022年6月に寄居町に完全移住。

新しい事を始められる可能性を感じ、移住を決意

中心市街地から近い、鐘撞堂山山頂からの風景

ーーまずは馬場さんが東京から寄居町への移住を決意した理由を教えてください。

馬場:移住前は、ライター業をやりながら、日本酒と発酵食品をメインにした飲食店を東京都 板橋区で経営していました。同時に、いつかは田舎でのんびり暮らしてみたいとも思っていました。そこで、板橋区を走る東武東上線の奥の方はどうだろうかと、なんとなく調べ始めます。最初に訪れたのが小川町駅です。

小川町は日本酒の酒蔵が幾つかあって、街も静かでいいかなと思いましたが、もう少し奥を見てみようと、次に訪れたのが寄居駅です。

正喜橋から見る荒川

馬場:寄居町は、東上線で池袋から1時間半程度。秩父線や八高線も通っていて、電車でのアクセスがいい。車ならば花園インターもある。また、寄居駅から10分も走れば山に入れます。野山を走るトレイルランニング(以下、トレラン)をよくやるのですが、ちょうどいい環境だと感じました。それから、荒川の河原にも寄居駅から歩いて15分ぐらいで行けます。川のせせらぎを見ながらチェアリング(イスとテーブルを広げて楽しむアウトドアアクティビティ)をするのにも最適でした。

他にも、中心地市街地とその周辺に大きなスーパーが複数あるので、住む場所によっては、車が無くても買い物には困らない。交通アクセスが良く、自然に近く、買い物なども便利。まさに「ほどよい田舎」。寄居町では、移住して何か新しい事業をやれる可能性を強く感じました。

玉淀河原の風景

ーー寄居に移住する前に何か準備したり、調べたりしたことはありましたか?

馬場:準備や調査は沢山やりました。全く縁の無い土地だったので、最初は商工会議所が開催する空き店舗活用のワークショップに参加します。その後、山を走ったり、荒川でチェアリングをしてみたり、街を歩いてみたり。気が向いた時に遊びに来ていました。空き物件情報や、土地の価格、町の財政、インフラ設備の規模、災害への強さ、産業の状況など、調べられる情報は出来るだけ調べています。

その後、駅近くに事務所物件を借りました。シャワールームやキッチンを付けて、経営していたお店のお客様を連れてきて一緒に遊べる場所にしようとしたのです。山を走る時に、着替えて荷物を預けたいとか、終わった後にシャワーを浴びたいといった希望があるのですが、残念ながら寄居駅はコインロッカーも無く、入浴施設もかなり離れた場所になります。ならば自分で作ろうと考えたのです。そして、それが新しい事業にならないかとも考え始めました。

馬場さんが借りることになった空き家

ーー施設にする物件探しはどのように進めたのですか?

馬場:最初はネットにある物件情報を中心に探していました。空き家は数多くありますが、実際に借りて施設を作るのに使えそうな物件は、ネットにはほぼ無かったです。次に、街の人に聞いてみました。事務所が出来て、近所の人に挨拶に行ったり、一緒に酒を飲んだりしていて、街の人との交流も徐々に増えていたので。そして、良さそうな空き家を見つけたら、持ち主に聞いてもらったのですが、こちらもいい返事をもらえる物件はありませんでした。

その後も地道に探し続け、探し始めて2年ぐらい経ったころです。運よく空き家コーディネーターの大田さんに中心市街地にある今回の物件を紹介してもらえたんです。

片付ける前の部屋内の様子

ーーなんとか物件が決まったんですね! どんな家を借りられることになったのでしょうか?

馬場:駅から歩いて3分ほどの所の細い路地の奥にある物件です。家の一番古いところは昭和5年に建築されていて、何回か増築が行われています。敷地は200坪ほどあって広いのは良かったのですが、以前は森のような庭園があったそうで、手入れが出来ずに大半を切り倒してしまっていて、丸太が大量に転がっていました。草も凄かったです。建物内に荷物もかなり残っていました。

持ち主に好きにやっていいと言われてはいましたが、リノベーションの前に庭と家の中を片付けないとどうにもならない。片付けだけでかなり大変だと思いました(笑)。

非日常の演出に最適な古民家

ーー現在、どんなリノベーションを行っているのでしょうか?

馬場:庭と家の中の片付けをやっています。片付け初めて1年ほどになりますが、まだ片付けは終わっていません。庭は残っている切り株を伐根したり、草やコンクリートクズを除去したり。トタンの物置小屋があったので、その中の物を処分して解体もしています。

家の中には家具や食器、本、着物、絵などが大量にありました。使える物のほとんどは、希望のあった近隣の方に譲渡して、使えそうにないものは少しずつ廃棄していきました。

掃除前の庭の様子

ーーちなみに、リノベーション中に大変だったことはありましたか?

馬場:家の中を掃除していると、日本初の近代的国語辞書「言海」とか、色々変わったものが出てきて面白かったですが、何しろ数が多い。そしてホコリが凄い。庭は、一度草を抜いて平らにしたところに大量の丸太を移動させて、石も動かせるものは移動させる。これもとにかく数が多い。まだ生えていた8mぐらいの大木は、腐り始めていたので業者にお願いして切ってもらいました。夏場は草の勢いが凄く、刈り取ってもすぐに伸びてくるので、それを抑えるのだけで精一杯。ひたすら肉体労働の日々です。

とりあえず、日によくあたって体を動かしているので、健康的で食事は美味しくなるかな(笑)。

古民家から出てきた国語辞書

ーートレランの施設を作る上で、あえて古民家を選んだ理由は何だったのでしょうか?

馬場:正直、古民家は好きじゃないです。直すのが大変なので。しかし古民家は、飲食店において非常に重要な「非日常」を演出するにあたって、大きな可能性をもっている。改修のしかた次第で非常に魅力的な物件になります。そういう意味では、古民家は街にとって貴重な資産だと思います。

近隣の方への着物の譲渡風景

ーー『門口寄居』はこれからどんな施設になる予定でしょうか?

馬場:施設のテーマは「食と外遊び」です。トレランやサイクリング、ハイキング、チェアリングなどのアウトドアアクティビティを楽しむ人の拠点であり、出発点となるように「門口」としました。

例えば、トレランをやる人が、着替えて、荷物を預けて走りに行く。戻ってきたらシャワーを浴びて汗を流せる。サッパリしたら一杯やりながら地の食材を使った料理が味わえる。ハイキングや自転車をやる人も、終わった後に飲食ができる。ランナーなどは、日が暮れるよりも早くに走るのを終了して一杯楽しみたいのですが、その時間では空いている店も少なく、行く場所がありません。ならば門口寄居がそれを可能にする。

門口寄居改修イメージ図

馬場:サイクリストは、秩父方面に向かったり、東秩父方面などでヒルクライム(自転車で坂を上る競技)の練習をしたりする人が寄居を通過していきます。ただ、寄居には自転車で立ち寄りやすい店が無いので、通過点になっているだけです。ハイキングの方も、同じように通過点になっています。そういう方が立ち寄りやすく、使いたいサービスを提供する予定です。河原でチェアリングをやりたい方や、ちょっとサイクリングをしたい方に必要な道具をレンタルする事業も検討しています。

やっぱり都心から電車に1時間半ほど乗っただけで、ここまで雄大な自然を体感できる場所はあまりないので、寄居の自然を思う存分に楽しめる空間になればいいですね。

門口寄居の事業プラン

気がつくとすっかり寄居の町に馴染んでいた

ーー馬場さんが思う寄居町の魅力はどんなところだと思いますか?

馬場:移住の理由でも言いましたが、「ほどよい田舎」という点です。山にも川にも近く、自然が濃い。中心市街地から少し行けば、のどかな田園風景が広がるエリアもあります。それでいて、車が無くても困らない、生活の便利さがある。用事があれば都内に1時間半ほどで行けるアクセスの良さもいいですね。熊谷ならば電車で30分ほどです。自然が楽しめて、都市の便利さもある程度あり、快適に過ごせる点は魅力的だと思います。

無人販売所の野菜は新鮮で安い

馬場:あと、寄居は野菜の無人販売所なども多く、都心に住んでいた時よりも食が豊かになりました。それから、寄居には桜の植樹をしている会があって、季節ごとに色々な桜が咲くので、一年中桜が見られます。そういうところも魅力かな。

田園風景に続く桜

ーー寄居町の人たちにはどんな印象を受けましたか?

馬場:穏やかな人が多く、フレンドリーですね。町会でもよそ者扱いなどされず、地域の祭りなどもこころよく受け入れてもらえました。祭りでは、いきなり神輿の華棒(一番前の目立つ場所)を担がせてもらえるとか、良すぎだろうというぐらいです(笑)。

まだ寄居に完全に移住して1年半ほどなんですけど、ご近所さんから野菜をもらったり、色々な集まりに呼んでもらえたり、気がつくとすっかり寄居の町に馴染んでいました。

また、地域の行事に用事で参加できないような時は、都合を優先してもらえて、次からもう声をかけてくれないなんてこともありません。田舎だと、急に距離を詰められて戸惑うこともあると言いますが、寄居ではそんなことはなく、程よい距離感で接してもらえます。外から来た人をこころよく受け入れてくれる、寛容ないい人が多い。そんな感じです。

街の人と一緒に祭りで神輿を担ぐ馬場さん

ーー最後にこれから「寄居町に住んでみたいな」と思う人に向けて、一言お願いします。

馬場:寄居は「ほどよい田舎」です。自然が濃いが、都会の便利さがある程度あり、都心からのアクセスもいい。移住すると車が絶対に必要になりそうとか、人間関係が大変なのではとか。色々不安があるかと思います。寄居はそういう不安が少ない。移住に対するハードルはかなり低いのではないでしょうか。

また、寄居は何かやろうとする人に対して、街の人が色々手を差し伸べてくれます。地域の人と積極的に交流することで可能性が広がります。街自体も駅前が整備されて、Yottecoのような駅前拠点が出来ました。商工会の建物の中には、新たにイノベーション拠点の「SPARK」が出来ます。移住して何か事業を始めようという人や、農業を始める人なども次々に現れています。「可能性の街」。それが寄居です。何かを始めたい、変えてみたい人は是非寄居を訪れてください。もちろん、自然を感じながら穏やかに暮らしたい方も大歓迎です。

それから、『門口寄居』は2024年秋のオープンを目指して改修中です。いつもの生活を離れ、自然に身を預けて少し気分転換をしたくなった時は気軽に立ち寄ってください。門口寄居が、皆さんの「食と外遊び」のスタート地点になります。

▷門口寄居 公式HP
▷門口寄居 公式X(旧:Twitter) 

ライター:SAGOJO編集部

『すごい旅研究所』の記事制作を手がける編集チーム。「旅 × シゴト」を目指すすべての旅人に役立つ情報をお届けします。

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