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<特集>ラボたま×SAGOJOプロジェクト

2023-12-25

古い家とうまく付き合う。寄居町のカフェ『古民家クイジーヌうさぎのテーブル』から考える古民家の可能性

埼玉県北西部に位置し、都心部から70km圏内にある「寄居町(よりいまち)」

人口約3万人ほどののどかな町で、荒川の清流が秩父の山間から関東平野に流れ出す扇状地のように発展したため、清らかな水と緑に恵まれています。また、近年は「一年中桜に出会える町」としても有名で、約100種を超える桜が一年を通して咲き誇っています。

そんな寄居町で、多様化するニーズに合う住まいづくりを実現するために、空き家の調査や移住・定住、シティプロモーションなどに取り組んでいるのが、地域デザインラボさいたま(以下ラボたま)です。

「ラボたま × SAGOJO」のコラボレーション企画・第3弾は、実際に寄居町で空き家をリノベーションし、地域の中で活躍する方にインタビューを実施! 今回は、高知県での暮らしを経て寄居町にUターンし、カフェ『古民家クイジーヌうさぎのテーブル』をオープンさせた柴崎 広美さんにお話を伺いました。

▷【第1弾】「誰もがチャレンジできる場所に」建築家らが埼玉県 寄居町の共創型ローカルプロジェクトセンター『rutsubo』で、シェアキッチンを始めたワケ

▷【第2弾】「空き家は “地域の資源” になる」空き家コーディネーター 大田幸子さんが語る、埼玉県 寄居町の空き家の魅力

お話を聞いた人


柴崎 広美さん
埼玉県 寄居町出身。約25年間を高知県で暮らした後、2016年に埼玉県 寄居町にUターン。現在はカフェ『古民家クイジーヌうさぎのテーブル』の営業とともに、寄居町でオーガニックな暮らしを提案する『寄居オーガニックカウンシル』、里山環境を大切に守り次の世代に渡すために結成したユニット『種まき鳥』の活動を行う。

Uターンした地元ではじめた古民家カフェ

ーー柴崎さんは現在、寄居町でどんな活動をしているのでしょうか?

柴崎:私は今年の9月から、波久礼駅徒歩12分の場所にある古民家を再生し、『古民家クイジーヌうさぎのテーブル』というカフェを開業しました。お店は土日月火のみの営業で、1日15食限定の地元有機農家さんの野菜たっぷりランチのほか、クッキーとシフォンケーキなどを提供、自然農野菜の販売を行なっています。

古民家クイジーヌうさぎのテーブル定番定食「心と体が整う和ご飯」

カフェの他にも、『寄居オーガニックカウンシル』では少しでもオーガニックな暮らしを取り入れてもらう取組みとして、家庭菜園講座や農園見学を月1回開催したり、寄居の里山風景を残していくためのユニット「種まき鳥」のメンバーとして大地の再生ワークショップや間伐した竹で竹炭つくりを行ったりしています。 
また、年に1回「よりい里山文化祭」というイベントを開催し、自然を大切に活動をしている各拠点を結び里山の魅力を伝える活動もしています。

『種まき鳥』の活動風景

『寄居オーガニックカウンシル』家庭菜園講座の様子

ーー柴崎さんは長年高知県で暮らしていましたが、2016年に地元である寄居町にUターンされました。寄居町に戻ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

柴崎:父親の病気がきっかけにUターンすることになりました。寄居は地元とはいえ、それまでは何十年間も帰っていなかったので、最初は「地域に溶け込めるかな?」と不安でした。でも、家族が新たな環境に対して前向きに受け止めてくれて。特に主人は私より移住の話に断然乗り気でしたね(笑)

それに私も「いつか自分のカフェを開きたい」という夢を叶えたかったので、開業に向けて寄居で場所を探してみることにしたんです。

ーー寄居町のどんな場所で店舗を探したのですか?

柴崎:ゆくゆくは「自分の畑で採れたものをカフェで使いたい」という思いがあったので、自分の畑に近くて、自然の多いのどかな場所を探していました。でも、なかなか自分の希望に合った物件が見つからなくて……。

物件を探しはじめて5年後のある日、空き家コーディネーターの大田 幸子さんのつながりで、ようやく見つかったんです。

ーーついに! どんな物件が見つかったのでしょう?

柴崎:実家の近くの空き家でした。以前、畑作業をしている際に気になって、ネットでその家について調べてみたんですが、その時は売買のみの取り扱いで諦めたんです。だけど今回、大田さんがオーナーさんと直接交渉してくれたおかげで、賃貸で借りれることになって。まさに「これは運命だ!」と思いました。

古民家クイジーヌうさぎのテーブルの外観

荷物整理は宝探しみたいでワクワクする

ーー借りられることになった空き家は、当初どんな状態でしたか?

柴崎:それまで20年間誰も住んでいなかった家なので、最初は人が歩けないほど家具や本が置かれていました。でも私は逆に「この古い建物の良さを活かしたい!」と思い、リノベーションすることに決めたんです。

リノベ前の家のお写真

ーーリノベーションで一番大変だったことは何ですか?

柴崎:重量のある家具・荷物の整理と掃除ですね。ハイエース3台分あった大量の本や段ボールは近くの福祉施設でリサイクルしてもらったり、買い取ってもらえる家具類は知り合いのアンティークショップに引き取ってもらったり。残りの処分品は軽トラを借りてゴミ処理場へ何度も自分で運びました。

それから建物の改修を始めるのですが、まずは地元の大工さんにお願いしてトイレを新たに設置しなおし、浄化槽を取り替えました。その次に、玄関と台所の床が抜けていたので、カフェの厨房をつくるための改修をしました。時間はかかりましたが、何とか周囲の人の力を借りながら、少しずつお店をオープンできる形に近づけていきました。

ーー大変だった一方で、リノベーションのプロセスで楽しかったことはありますか?

柴崎:荷物整理の際に「これは使えそう!」というものが出てきた時は、宝探しみたいでワクワクしました(笑)

また、壁の漆喰塗りやペンキ塗り、押入の解体など自分でできることはDIYに挑戦し、庭に生えている竹切りや溝掘りは『種まき鳥』のワークショップとして皆で行いました。

業者に頼んで終わりにするのではなく、町の人や知り合いも巻き込んで古民家再生ができたのは、興味がある人に対しては知識や経験をシェアする機会になったと思いますし、私も1人では到底できないことだったので、とても良かったと思っています。

木箱や空きビン、古い炊飯器やアイロンは古民家から発掘したもの

地域に溶け込むための秘訣は「発信し行動すること」

ーー寄居町にUターンしてきて良かったなと思うことはありますか?

柴崎:寄居に帰ってきた時は浦島太郎状態で、知っている人はほとんどいなかったのですが、町のことを知るためにいろんな場所に積極的に顔を出すと、地域の人々が温かく迎え入れてくれたのは嬉しかったです。

他にも、私はリノベーションに関しては焦らずやりたい気持ちがあり、自分のペースで行っていたんですが、手助けがほしい時に町の人たちに声をかけると、快く引き受けてくれて。

「適度な距離を保ちながら助け合える」、そんな寄居の人の良さに気づけたのも良かったですね。

ーー柴崎さんから見て、新しい土地に馴染むコツは何だと思いますか?

柴崎:自分の興味のあることなどを日頃から発信し、行動することだと思います。私の場合、寄居で食に興味のある人たちと集まって、有機農業を広める活動をしたことで役場やいろんな人と知り合うことができました。それに日頃からSNSで「自分がこんな活動をしています」と発信するのも大切だと思います。

大地の再生ワークショップの様子

ーー最後に、これから「寄居町に住んでみたいな」と思う人に向けて、一言お願いします。

柴崎:かつて私が寄居で過ごしたのは昭和の頃だったんですが、お豆腐屋や八百屋、駄菓子屋などの個人経営店が多く、映画に出てくるような昭和の街並みでした。今もそんな面影が少し残っているため、レトロな雰囲気が好きな人にはぴったりなはず。

そして寄居に限らず、もし住みたい町があるのなら、その町にいきなり住むのではなく、町のコーディネーターさんなどの相談役を見つけてください。一度宿泊施設に泊まってみると、実際に町での暮らしをイメージしやすくなると思いますよ。

▷『古民家クイジーヌうさぎのテーブル』公式Instagram

 

編集部からのお知らせ

「ラボたま × SAGOJO」のコラボ企画として、SAGOJOの旅人インフルエンサーが実際に寄居町に滞在してみたレポートを近日公開予定です。ぜひそちらの記事もお楽しみに!

ライター:SAGOJO編集部

『すごい旅研究所』の記事制作を手がける編集チーム。「旅 × シゴト」を目指すすべての旅人に役立つ情報をお届けします。

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