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<特集>ラボたま×SAGOJOプロジェクト

2023-12-18

「空き家は “地域の資源” になる」空き家コーディネーター 大田幸子さんが語る、埼玉県 寄居町の空き家の魅力

埼玉県北西部に位置し、都心部から70km圏内にある「寄居町(よりいまち)」

人口約3万人ほどののどかな町で、荒川の清流が秩父の山間から関東平野に流れ出す扇状地のように発展したため、清らかな水と緑に恵まれています。また、近年は「一年中桜に出会える町」としても有名で、約100種を超える桜が一年を通して咲き誇っています。

そんな寄居町で、多様化するニーズに合う住まいづくりを実現するために、空き家の調査や移住・定住、シティプロモーションなどに取り組んでいるのが、地域デザインラボさいたま(以下ラボたま)です。

「ラボたま × SAGOJO」のコラボレーション企画・第2弾は、実際に寄居町で空き家をリノベーションし、地域の中で活躍する方にインタビューを実施! 今回は、都心から寄居町に移住し、地域おこし協力隊として約3年間活動後、空き家・空き店舗活用支援活動を行っている大田 幸子さんにお話を伺いました。
 

▷【第1弾】「誰もがチャレンジできる場所に」建築家らが埼玉県 寄居町の共創型ローカルプロジェクトセンター『rutsubo』で、シェアキッチンを始めたワケ

お話を聞いた人


大田 幸子さん
鹿児島 阿久根市出身。都内で不動産関係の仕事につき、2020年に埼玉県 寄居町に移住。寄居町の地域おこし協力隊として「空き家・空き店舗活用支援」「移住者創業者相談支援」をメインに活動し、退任後も寄居町に定住して空き家活用支援を行っている。空き家をリノベーションした一棟貸切り宿『帰宿穏坐(きしゅくおんざ)』、旧洋裁学校を活用した貸スタジオ『studio DOREME(スタジオドレメ)』を運営中。

移住の話より先に住む家が決まった

ーー大田さんは昨年まで寄居町で地域おこし協力隊として働かれていました。任期を終え、現在はどんな活動をされているのでしょうか?

大田:退任後はそのまま寄居に残り、空き家をリノベした1日1組限定の民泊『帰宿穏坐』や貸しスペース『studio DOREME』の運営をしたり、商店街の本屋で働いたりしています。他にも、コーディネーターとして寄居でのさまざまな空き家相談に対応しています。

以前は築50年の借家をリノベしながら住んでいたんですが、現在そこは旧洋裁学校の待合室として使用されているので、私は同じ町内にある築30年の一軒家で暮らしています。

帰宿穏坐

「studio DOREME」

ーー大田さんが寄居町へ移住するまでの経緯を教えてください。

大田:私は元々鹿児島県出身で、東京で不動産関係の仕事をしていたのですが、「これまでと違う仕事がしたい」という気持ちと同時に「どこか知らない町で暮らしてみたいな〜」と思うようになったんです。

インターネットで移住情報を探してみたところ、寄居町で行われた「空き家解体ワークショップ」を見つけ、参加してみることにしました。そこで約1年間、実際に何度も寄居に足を運び、地元の人と交流をしました。

実は寄居に移住する前までは、あまりやりたいことが見つからなくて……。そんななか、自分が生きているうちにやりたいことを考えたとき、ふと「DIYをやってみたい!」と思ったんです。

その後、「寄居で空き家を使ってリノベーションをしたい」と思い、地元の人たちに話してみると、「うちの借家を使っていいよ」と言ってくれるオーナーさんがいて。なので寄居への移住より先に住む家が決まりました(笑)

ーーそれまでリノベーションをした経験はあったのでしょうか?

大田:いえ、まったくの未経験でした。これまでデスクワークが中心だったこともあり、あまり体力を使うことはなくて。なので実際にリノベーションをしてみると、時間はかかるし、汚れるしで想像以上に大変でした(笑)

それこそ地元の大工さんにリノベーションについて相談してみたのですが、「自分の好きな空間を作りたいのなら、最後まで自分でやった方がいいよ」とアドバイスしてくれて。プロに依頼する方が早く完成するケースが多いと思いますが、大工さんの言う通り最後まで責任を持ってやろうと思い、ひとりでリノベーションをすることに決めました。

主にキッチンとトイレと脱衣所のリノベーションを行ったのですが、壁の塗装は地元の塗装屋さん、庭づくりは地元の庭師さんに協力していただき、ワークショップ形式で友人たちにも手伝ってもらって作業しました。

リノベは「手間がかかる子ほど、かわいいと思える」

ーー空き家をリノベーションする上で、特に意識したことはありますか?

大田:居心地の良さですね。元々古い家のレトロな雰囲気が特徴なので、それを壊さないように既存部分をできるだけ残し、新規工事部分と既存部分を融合させるようにデザインしました。そのためリノベーションに時間はかかったんですが、やっぱり手間がかかる子ほどかわいいというか。完成してみると、何より自分の家に愛着が湧いたんです。

ーーリノベーションをする上で大変だった点は?

大田:実際に家に住みながらリノベを行ったのですが、洗い物をする場所がないので洗面所で食器を洗ったり、仕事をしながらだったので寝不足になりながらやったりと、本当に大変でしたね。やっぱり住みながらリノベするのは落ち着かないので、あまりオススメしません(笑)

キッチンはリノベ後、お気に入りの場所になりました

ーーリノベーションの大変さを乗り越えて、古民家に住んでみて良かったことは何でしょうか?

大田:私は昔から昭和レトロな建築や小道具に癒されていたこともあり、そこにいるだけで落ち着くんですよね。

それに古民家に関わる人ってすごく個性的で面白くて。例えば、庭師の方に家の庭の改善をお願いすると、急に「ここに竹ドームを作ってみたい」と言い出し、許可してみると、いきなり6人で4時間かけて竹ドームを作ってくれました(笑)。それをインスタに載せると、いろんな人が見にきてくれて楽しかったです。

ーー土地があるからこそ自由にやりたいことを実現できる、すごく “寄居の人らしい” エピソードですね。

大田:はい。それこそ寄居の人たちは程よい距離感で接してくれるのでありがたいです。日頃からいろいろな町の活動や集会に誘ってくれるのですが、決して無理強いはしてこない。それに余計なお節介は焼かないんですが、こちらが頼ると積極的に力を貸してくれます。

私は移住する際、ご近所付き合いに対して覚悟してきた部分もあったんですけど、余計な心配でしたね。寄居の人たちは適度な距離感を保ってくれるので、良い関係を続けられます。

発酵料理ワークショップを開催し、参加者の方々と食事をしている様子

空き家はその土地の地域資源になる

ーーこれから寄居町を訪れる人に、オススメの体験はありますか?

大田:rustuboと寄居町商工会の人たちに会ってほしいです。rustuboは『つぼめし』に、商工会の人たちは会議所に行けば会えると思うので、ぜひ訪れてみてください。初めての人でも「ちょっと寄居のことに興味があるんですけど......」と言うと、商工会の人たちがこぞって集まって、町の魅力を教えてくれると思います。

今年の12月に寄居町商工会はイノベーション新拠点に移転し、そのなかにコワーキングスペースとシェアオフィスができました。シェアオフィス部分は契約者専用になりますが、コワーキングスペースは一般の人も利用できますので、ぜひ訪れてみてください。

商工会の新拠点にあるコワーキングスペース

シェアオフィス2階部分(契約者専用)

ーー大田さんが寄居町に越して約4年になりますが、改めて町の魅力って何だと思いますか?

大田:寄居って都心から少し離れているんですが、山や川などの自然がありながら、大きなスーパーもあるのでまったく不便を感じません。あとは「そこに暮らす人々」かな。寄居には私より年上の方が多く住んでいるので、歳の離れた方とも町のイベントや空き家を通して仲良くなれるのも魅力のひとつですね。

ーー現在、空き家を持っている人に向けてメッセージをお願いします。

大田:今、日本全国で放置された空き家が問題視されていますが、私は空き家を負の遺産と考えていなくて。「地域の資源」だと思っています。なので、もし今空き家を持っていて「これからどうしよう......」と悩んでいる方がいれば、第三者だからこそ思いつくアイデアがありますので一度気軽に相談してください。

以前住んでいた大田さんの家。現在は『studioDOREME』の待合室ですが、別用途での活用も計画中

ーー最後に、寄居町に移住を検討している人たちに向けて一言お願いします。

大田:地方移住って楽しいことばかりではないんですけど、少し勇気を出して一歩踏み出してみるといろんな出会いがあるので、ぜひ一度寄居に来てみてほしいです。私の移住の先輩が「一人でもいいからその町に相談者がいると救われる」と言っていたんですが、まさに自分がそうなれたらいいなと。なので、何か質問があれば遠慮なく聞いてくださいね。

▷民泊『帰宿穏坐』
▷貸しスタジオ『studio DOREME』

ライター:SAGOJO編集部

『すごい旅研究所』の記事制作を手がける編集チーム。「旅 × シゴト」を目指すすべての旅人に役立つ情報をお届けします。

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