すごい旅の話
2023-02-21
美しい海とグルメ、世界文化遺産の魅力が融合する 癒やしの離島『新上五島町』

TENJIKUの新しい拠点として、長崎県新上五島町似首郷に『TENJIKU新上五島』がオープンすることになりました。九州最西端の五島列島北部に位置する新上五島町は、中通島と若松島を中心とする7つの有人島と60の無人島から構成されている、大自然と世界文化遺産が共存する町。
この離島の町の魅力を、『TENJIKU新上五島』がある似首地区で食品製造業を営む南 慎太郎さんにお話していただきます。
新上五島町の世界文化遺産
――新上五島町について教えていただけますか?
皆さん、はじめまして! 南 慎太郎です。僕は新上五島町が大好きです。仕事で東京や大阪などに行くこともありますが、島にいるときとは違い、なんだかパワーが出ないんです。でも島に帰るフェリーに乗り、港で新上五島町の海のミネラルをたっぷり含んだ空気を吸った途端に元気になります(笑)。
それくらい新上五島町のことを好きなんです。たぶん、この新上五島町には人を元気にする癒やしのパワーがあるんだと思います。
旅人さんが新上五島町にいらっしゃる場合は、長崎港から新上五島町・有川港までは高速船で約1時間40分、佐世保港から有川港までは高速船で約1時間25分で到着できますよ。
『頭ケ島天主堂』。西日本で唯一の石造りの教会
新上五島町には世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産である『頭ヶ島の集落』があります。この集落の中にある『頭ケ島天主堂』は、西日本で唯一の石造の教会。堂内は花柄文様で装飾されていて、人々から「花の御堂」の愛称で親しまれています。
他にも国の重要文化財に指定されている『青砂ヶ浦天主堂』や、海上からでないと見られない『キリシタン洞窟』や『ハリノメンド』など、29の教会と潜伏キリシタンの関連スポットがあり、教会巡りを目的に新上五島町を訪れる人も少なくありません。
自慢の美しい五島ブルーの海
龍観山展望所上空から望む若松大橋と多島美
――新上五島町ではどのような経験ができますか?
新上五島町は自然のポテンシャルがすごい! 特に美しい海が自慢です。町内の海岸線の多くは西海国立公園に指定されていて、五島ブルーの海、深緑の山々、白浜のビーチ、多島美など、絶景であふれています。
――新上五島町には海水浴も楽しめるビーチがありますか?
遠浅の蛤浜海水浴場
はい。海水浴にもピッタリのビーチが数多くありますよ。蛤浜海水浴場は環境省が選ぶ「快水浴場百選」にも選ばれた美しいビーチ。白砂の遠浅の海です。シーズン中は休憩舎・売店を開設していて、トイレ・シャワー更衣室もあるので、子ども連れの家族に人気があります。
夏はSUPやクリアシーカヤックなどのマリンアクティビティーも楽しめます。
あまり知られていませんが、風がない秋の日没と干潮時が重なった日に蛤浜に行くと、ウユニ塩湖のような上下シンメトリーの写真が撮れることもあるんですよ。人も少ないので、穴場の絶景スポットだと思います。
地元の人に愛されているハマンナ
高井旅海水浴場やハマンナは、サーフィンのスポットとしても知られているビーチ。お忍びで行きたいときは海の透明度が高く、小高い山に囲まれた静かな小さい白浜の船崎海水浴場がおすすめです。
シュノーケルや釣りも楽しめる『TENJIKU新上五島』
――慎太郎さんは仕事も遊びも全力で楽しんでいると伺いましたが、海水浴の他にはどんなことをしていらっしゃいますか?
休日は海で魚を獲ります! 五島列島は海釣りの名所なので、いろいろな魚が釣れます。中でもこの似首郷の防波堤は、イカ釣りの一級ポイント。『TENJIKU新上五島』から歩いて1分のところで、アオリイカがバンバン釣れます。島に住んでいる人もわざわざ釣りに来るくらい、良いポイントなんです。
――釣り好きにはたまりませんね。イカが釣れる季節は決まっているのですか?
大きいイカを狙うのであれば、4月から6月くらいまで。大きいもので2kgのミズイカが釣れます。これは一般的「子持ちイカ」と呼ばれているイカ。産卵のために陸に寄ってくるのです。少し大味(おおあじ)なので、地元の人はフライなどにして食べます。
アオリイカは年中釣れますが、冬になると甘みのある美味しいイカが釣れます。同じアオリイカでも、冬に釣るものは他の季節に釣ったものとでは別格です。
海と山の恵みをたっぷり受けた新上五島町のグルメ
――新上五島町はグルメも充実していますよね?
この島の良いところは、めちゃくちゃ美味しい魚が安く買えるところ。
暖流の対馬海流と寒流のリマン海流が五島近海でぶつかり、プランクトンが発生して、ブリ、マグロ、カツオ、シイラ、石鯛、ヤガラ、シマアジ、そしてアゴと呼んでいるトビウオなど、多種多様な魚が大量に集まるんです。そのお陰で、新上五島町にはいろいろな種類の魚が水揚げされます。
――今まで東京で食べていたお刺身は何だったのだろうと思うほど、新上五島町の魚は美味しいですね。
新上五島町の漁師たちは、魚を素早く処理するからでしょう。島の魚を本土に運ぶとなったら時間がかかります。魚は内臓から腐敗が進むので、どうしても内臓から身に匂いが移ってしまいます。
新上五島町の『有川湾』は定置網漁が盛んで、港から数分のところに網を仕掛けます。定置網と港が離れていないので魚の下処理までの時間もかからず、美味しい魚が食べられます。うまいですよー。
――五島の海は潮の流れが速いので魚が鍛えられて身が締まり、味が良くなると聞いたことがあります。
それもありますね。回遊魚が季節ごとにちゃんとやってきます。冬はマグロ、春は真鯛、夏はハガツオ。9月になると毎年アゴ(トビウオ)が有川湾内に入ってきて、町はアゴ漁で活気づきます。
アゴ焼きの季節が終わると、「かっとっぽ」の季節。新上五島町に古くから伝わる郷土料理の「かっとっぽ」も、旅人さんにぜひ食べてほしい冬から春にかけての魚料理です。獲られる魚で季節を感じられるのも、新上五島町の魅力のひとつです。
――「かっとっぽ」とは、どんなお料理なのですか?
ハコフグの味噌焼きのことです。ハコフグの身だけを残し、田舎味噌と魚の肝、しょうが、にんにく、ねぎを和え、少しお酒を加えながら特製味噌ダレを作ります。逆さにしたハコフグを器のようにし、おなかの中に特製味噌ダレを詰め込み、丸ごと焼き上げるというダイナミックな一品。
ハコフグの身と特製味噌ダレをよーく絡ませて食べます。これが、お酒がいくらあっても足りないほどの絶品! 白いご飯にもよく合います。一度味わうとクセになる、新上五島町自慢の郷土料理です。
今では冬に獲れたハコフグを冷凍保存して一年中提供しているお店もありますし、冬でも仕入れの関係で提供できない場合もありますので、「かっとっぽ」を食べてみたい人はお店に問い合わせをしてから行くと良いですよ。
女性にも人気の五島灘酒造の芋焼酎
――新上五島町のグルメに合うのはどんなお酒ですか?
新上五島町の料理に合うのは、五島灘酒造の芋焼酎! 冬はお湯割り、夏は島で人気の『ザマナボール』! 芋焼酎をソーダで割ったものです。『ザマナ』は島の方言で『最上級』の意味。「ハイボール」の上をいく、最高に美味しい芋焼酎のソーダ割りという意味で使われています。
芋焼酎はロックや水割りで飲むものという印象が強いかもしれませんが、五島灘の焼酎は「女性が飲みやすい芋焼酎」で、ソーダ割りにも合う焼酎のニューウェーブ銘柄。芋焼酎は作られる蔵によって、さつまいもの品種や麹菌、蒸留方法などがさまざまなので、香りや味わいが全く異なります。
五島灘酒造は蔵人が原材料のさつまいも栽培から手がけていている、こだわりの焼酎。紅さつまの風味を活かして作られた『五島灘 紅さつま』は甘みとコクがあり、ソーダ割りにすると華やかな香りと爽快さを味わえます。途絶えかけていた幻の品種「金ぼけ」を復活させて造られた、『明治之芋 五島灘』もおすすめです。
――お魚以外のグルメに関しても教えてください。
日本のうどんのルーツともいわれている「五島手延うどん」も人気があります。五島うどんは島の特産である食用の椿油を塗布しながら、ひも状の細い麺にしていく手延べうどんです。麺自体の持つ豊かな風味と椿油が調和し、シンプルながらも奥深い味わい。コシが強く、滑らかで喉越しの良い食感も魅力です。
五島うどんには『アゴだし』が相性抜群。海上を飛ぶトビウオは、雑味の原因になる脂肪分が他の魚より少ないので、スッキリと上品な味のダシがとれるのです。「あごが落ちるほど美味しいから『アゴ』と呼ばれるようになった」という説もあるほど。上五島の豊かな風土が育んだ、極上の逸品と言われています。
手作り一番塩「まあるい塩(540円/45g)」の出来立てほやほやの結晶
「五島うどん」の材料は小麦粉と水と塩です。「目の前に美しい海が広がっているのだから、塩造りから始めて究極の五島うどんを作ろう」と、『虎屋』先代社長が提案。長崎県で初めて塩の製造を開始しました。
機械を使わない手作りの製塩方法にこだわって研究を重ね、世界的にも珍しいマイクロプラスティックフリーの天然塩を作ることに成功。料理研究家の土井善晴先生も「ここの塩は間違いなく日本一や!」といってくれた海塩です。お土産にすると喜んでもらえると思いますよ。
――新上五島町は海からの贈り物のグルメもたっぷり味わえる、魅力あふれる町なんですね。最後に、この新上五島を訪れたいと思っている旅人さんたちにメッセージをお願いします。
新上五島町のファンが増えてくれると嬉しいと思っています。ゆっくり流れる島の時間を満喫できる癒やしの新上五島に、ぜひ一度おいでください。
(取材・撮影・文/北川りさ)
株式会社虎屋 代表取締役。妻こころさんの父・大塚虎夫さんが創業した『虎屋』を夫婦で継ぎ、五島手延うどん製麺所・製塩所を経営。2019年には「島diningとらや」もオープン。世界的にも希少なマイクロプラスティック・フリーの自然塩『海塩ごとう』と一番塩『まあるい塩』、この塩を使用した『五島うどん』、『塩プリン』、長崎県特産品新作展菓子・スイーツ部門最優秀賞受賞『五島チーズケーキ 塩あんのう』などを製造・販売している。
ライター&フォトグラファー。光文社月刊ファッション誌HERSライターやGQ JAPAN WEBライターなどを経て、現在フリーで活動中。ファッション誌時代は海外・国内トラベルや巻頭美容連載、読者モデル特集、自動車関連記事などのディレクション・撮影・記事執筆を担当。ドローン空撮を得意とし、地方自治体観光PR映像制作、新製品PR映像制作、パンフレット写真空撮など、実績多数。