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2021-03-31

秩父の魅力を全国へ。小鹿野町「地域商社プロデューサー」求む!【地域おこし協力隊募集】

見晴らせば秩父の山々、名水湧き花咲くは四季折々。そんな豊かな自然の中で、裏方まですべて住民たちが担う「地歌舞伎」が200年以上続くまち――。埼玉県最西部、秩父地方にある小鹿野(おがの)町は、そんな形容がなされる自然と文化が共存する地です。

ここ小鹿野で、特産品や観光資源など地場のものを活用し地域外への売り込みを狙う「地域商社」がまもなく立ち上がります。それに伴い世界中、日本全国のローカルを歩いてきた旅人たちに今回、プロジェクトマネジャーとしてその経験を活かしてほしいというオファーが届きました。

国内であれば北海道や沖縄などが旅の目的地になりがちな大都市圏の居住者にとって、1都3県の「3県の郊外」は意外と灯台下暗し。近いのに遠かった“秘境”へ、移住の機会が開かれています。

公共交通の便が悪いからこその魅力

両神山とツツジ

小鹿野町は秩父地方に属する人口約1万1000人のまち。秩父盆地に現在の中心市街地があり、取り囲む山々には古くから山岳信仰の対象だった両神山(りょうかみさん)や、ロッククライミングのメッカ・二子山(ふたごやま)などがそびえ立ちます。町内に鉄道は通っておらず、都心からのアクセスは車または電車&バスで2時間ほど。

「公共交通の便が悪いからこそ豊かな自然が残っており、都会から来られる方々にはそこを魅力に感じてもらえているようです」と小鹿野町役場おもてなし課の山下雄一さん(34)は説明します。

小鹿野町役場おもてなし課 山下雄一さん

「今の季節ならしだれ桜、6月にはハナショウブ、秋はダリアや紅葉があって冬には希少種のセツブンソウと、年間を通して花と草木を楽しめます。『小鹿野歌舞伎』は町内各地の寺社仏閣で年間を通して行われており(※)、子供たちや現町長も舞台に立つほど郷土芸能として地に根付いています」
※2020年は新型コロナウイルスの影響で公演はすべて中止。2021年の開催については未定

4月に見頃を迎えるしだれ桜

200年以上続く郷土芸能、小鹿野歌舞伎

自然公園や名瀑「丸神の滝」、氷柱が視界一面に広がる冬の風物詩「尾ノ内氷柱」など、町内には地形や自然環境を生かした名所が点在。名水とされる「毘沙門水」が湧くことからも「山の恩恵」を受けていることがわかります。山下さんが続けます。「新しい動きとしては、まちおこしとしてクライミングを推しているというのがあり、これは自治体としては珍しいと思います。二子山があり多くのクライマーが訪ねてくることを踏まえ、ボルダリングができる『クライミングパーク神怡館(しんいかん)』が昨年開館しました」

地域を知り、長期的なスパンでまちと関わる仕事

これから設立される地域商社は、こうした観光資源だけでなく地場産品も含めて商品開発・活用・プロモーションを行う、つまりは“小鹿野を丸ごと外部に売り込む商社”。さらに、温浴施設や道の駅、国民宿舎など、町の施設の管理運営をしている一般財団法人「小鹿野町振興公社」の業務も引き継がせた上で、民間企業として利益を上げながら地域の活性化を図っていきます。

「地域商社プロジェクトマネージャー」は、都市在住者の移住と、その移住先の地域活性化を目的とした総務省事業「地域おこし協力隊」の枠組みを使った募集。協力隊の任期は最大3年ですが、「任期後もいてもらい、商社の立ち上げから10年、15年と一緒に成長していくイメージをしてもらえたら」と山下さんは話します。

「いろんな分野の業務が横断的に行われていくと思うので柔軟性が求められます。この3年間でまずは地域に馴染みながら、各地でやっていることを知ってもらいたい。今、それぞれが別々に存在しているものをつなげる役割になると思います。どこに何があるのかを知り、『この季節はこれに力を入れよう』といったように」

地域商社の業務を第一に置き、その上にその人ならではの特性やインスピレーションを乗せていってもらいたい」というのが町の希望。協力隊の仕事をメインに、副業も可能です。地域を熟知し長期的なスパンでまちに関わりながら、自分の得意分野を掛け合わせて仕事の幅を広げていけます。「移住を検討している方向けに、数日間無料で利用できるお試し住宅があるので、まずこちらでまちの雰囲気をつかんでもらえればと思います」(山下さん)。

「移住にも起業にも、商品開発にも環境の良いまち」

町では20年度までに15人が協力隊員として採用され、そのうちふたりは任期を終え卒業。ひとりはエゴマの栽培や商品販売、もうひとりは鳥獣被害対策業務で独立し、いずれも町内に住み続けています。今年4月に卒業予定の隊員は無肥料・無農薬によるダリアの自然栽培で独立するとのこと。協力隊として求められる役割は今回とは異なりますが、これまでに定着した移住者たちの手によって「地域の資源を活用する」という気風が少しずつ生まれ始めているようです。

移住にも起業にも、商品開発にも環境の良いまちだと思います」と教えてくれたのは19年1月に移住してきた工藤エレナさん(32)。協力隊員として移住情報や子育て情報の発信を担当する一方、副業として地域の特産物を使った商品開発やブランディングも手掛けています。自身の経験則から発言の意図を語ります。

工藤エレナさん(写真左から2番目)。モスクワ生まれで4歳から会津で育ち、会津→東京を経て小鹿野町へ。

「例えばおみやげひとつとっても、おいしいお菓子だけど日持ちしないとか、複数人に配りにくいとかでこれといったものがないのが現状です。販売の面でも、買うための導線が考えられていなかったりPOPがなかったり。良くも悪くも未完成なところが多いんです。『地域商社プロジェクトマネージャー』の仕事は、なんでも0から作り上げていけるはず。商品開発やマーケティングに興味がある人なら、大変ですがその分やりがいがあると思いますよ

工藤さんは現在、町内でミード(蜂蜜酒)の醸造所を設立するために奔走中。このほか完熟して黄色くなったカボスを「秩父黄金かぼす」としてブランド化し、新商品開発や販売も行っています。

「サクマドロップスとコラボして生み出した商品はコンビニや道の駅などに置いてもらっていて。このように流通に乗せることができれば秩父地方、埼玉県内で取り扱ってもらえて一気に広げることができる可能性が転がっています。実践できる場が目の前にあるので、商品開発ひいてはビジネスを経験したい人には魅力的なのでは」

小鹿野町では協力隊だけでなく、三大都市圏にある民間企業から社員を受け入れ“民間のノウハウ”をその地域に還元してもらう「地域おこし企業人」も2名活躍中。そのうちのひとり、髙金和夫さん(46)は埼玉県の地銀・武蔵野銀行から20年10月に出向してきました。現在は「クライミングパーク神怡館」にデスクを構え、地域商社の立ち上げ準備などに取り組んでいます。

髙金和夫さん。2020年秋、「地域おこし企業人」として武蔵野銀行から小鹿野町へ出向。

「武蔵野銀行が地銀として持っている様々な業界へのネットワークをうまく活用しながらまちに貢献できれば、と。まだ私から何かを提案する段階には至っていませんが、出向先の町役場側がこちらの話を聞いてくれるので、やりやすさを感じています」

地域と移住者の間に入り調整を行う町役場については、工藤さんもこんな印象を持っているとのことです。「本人の意向とのすり合わせをちゃんとしてくれます。他の自治体では“がんじがらめ”だったりもしますから。小鹿野では20~30代の同世代が対応してくれることが多く、話がスピーディーに進んでいく。課長クラスには民間あがりの人が多いからか、話が通じやすいです。プレゼンをする際に、土日にもかかわらず出てきてくれたり、一緒に回りたい場所に来てくれたり。まちを盛り上げていこうという空気があって、新しい話にはとりあえず耳を傾けてくれる」

役場含め、まちの人が力を合わせてがんばっているなって思います」と髙金さんも意を同じくします。「クライミングでの地域おこしではプロクライマーの平山ユージさんを観光大使として呼んでいたり。『バイク神社』とかもおもしろい取り組みですよね」

移住の穴場? 田舎らしからぬ寛容さのあるまち

暮らしの面では小鹿野はどんなまちなのでしょう。

「市街地ではコンビニや郵便局、銀行、スーパー、ドラッグストアなど、日々の中で必要なものが徒歩20分圏内にあり、飲み屋も30軒はあります。足りないものがあればバスで秩父市はすぐですし」と工藤さん。髙金さんも「私自身は町外から通勤していますがここで事足りるというか、コンパクトシティという印象」と同意します。

工藤さんは「寛容」という言葉でまちの空気を表します。

移住に対しても起業や商品開発に関しても寛容なまちだと思います。いわゆるムラ社会的なしがらみがない。娘さんや息子さんが都市部に出ている方も多いからか、山の中にあるのに田舎らしからぬ寛容さがあるというか。会社をおこしてものびのびやらせてくれたり、芸能祭に出させてもらったりと、地域の方々は文化的にも精神的にも寛容さをもって接してきてくれています」

首都圏にあるということを踏まえれば、商談に出向いたり逆に相手に視察に来てもらったりとビジネス面を考えても、秩父地方は移住の穴場と呼べるかもしれません。一点、工藤さんから補足がありました。「お祭りがたくさんあるのと、若い人は大体、消防団に入ることにはなると思います。月1回の飲み会はあるけど、それは仕事優先で大丈夫」

育児環境についても、自身も2児の母である工藤さんが教えてくれました。「保育園が2つとこども園が1つあり、待機児童はゼロ。飲食店なども広くて子供に対しても寛容です。地域に子供の成長を見守ってもらえている感覚があります」。入院病棟を有する町立病院には小児科も開設されているそうです。

なんでも試せる、可能性に満ちた場所

「眠っている宝がいっぱいある」「商品開発など、ビジネスを経験したい人にはなんでも試せる環境」「行政も新しい取り組みのアイデアを柔軟に聞いてくれる空気があるまち」。工藤さんや髙金さんら、小鹿野と深く関わる人たちから聞こえてくる声です。

どんな人に来てほしいかをおふたりに尋ねると、こんな答えが返ってきました。「いっときの勢いで何かをする人ではなく、長期的な視点で物事を見られる人。最初の3年で何か一つ動けばいいんじゃない、というような。忍耐強く柔軟性をもって学びながら地域と関係を作っていける人に来てほしいですね

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、人の密集する都市部から地方への移住を考えている人は増加が見込まれます。田舎の自然、風景を残しつつ都会からも遠すぎないバランスの取れたまちで空気を吸えば、ポストコロナの生活像が見えてくるかもしれません。

【小鹿野町のみなさんに聞きました】小鹿野町のいいところ、好きなところはどこですか?

・ほどよい距離感の人間関係。大人も子どもも知り合いかどうかに関係なく挨拶をするし、困ったときは助け合える。
・町民主体で助け合い自力で生きていける規模感。
・町民の人柄があくせくしていなく、笑顔の方が多い。
・都市部へのアクセスがいい。群馬や長野などの観光地にも近い。
食べ物はおいしく、自然も豊か。河原でバーベキューや森林浴もできる。気軽に散歩に出かけられる安心感がある。
・車があれば交通の利便性は高い。渋滞がなく、道も広いので走りやすい。
・町がコンパクトで市街中心地に生活に必要な施設がそろっている。温泉も近くにあるため気軽に寄ることができる。
・町から山や川までの距離が近く、豊かな自然に囲まれてストレスのない環境で過ごせる。クリエイティブな仕事をするのにはとても向いている。
・花木を育てている農家が多いので、いろいろな花を見られる。
・お祭りが多く賑やか。
・ご飯や水がおいしい。

令和3年度小鹿野町 地域おこし協力隊 募集概要

令和3年度小鹿野町地域おこし協力隊の募集は、2021年4月より開始予定です。具体的な募集時期や業務などの詳細は、小鹿野町役場(問い合わせ先は以下に記載)までお問い合わせください。

<募集隊員>
①地域商社プロジェクトマネージャー候補 
②小鹿野町ワーケーション事業マネージャー候補

<募集人数>
若干名

<業務内容>
①地域商社設立調査検討、観光DMO取得調査検討、地域商社実施事業全般の企画立案など
※就任から半年〜1年は新設の観光案内所にて観光案内・農産物直売のサポート業務
②ワーケーション事業に関する企画立案、運用など

①、②とも
<業務日>
土日祝日を中心に週5日

<募集期間>
2021年4月〜

<お問い合わせ>
〒368-0192埼玉県秩父郡小鹿野町小鹿野89
小鹿野町役場 小鹿野庁舎・総務課 まちづくり推進室 
電話:0494-26-6581 FAX:0494-75-2819
メール:somu@town.ogano.lg.jp
URL:https://www.town.ogano.lg.jp/chiikiokoshikyouryokutai/

※令和3年度募集については、2021年4月より募集要項を掲載予定です。
※「応募前に一度まちを訪れてみたい」「もっと詳しい話を聞きたい」などの問い合わせは上記へご連絡ください。

小鹿野町の暮らしについてもっと知りたい方はこちら

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▶︎小鹿野町地域おこし協力隊 宮本莉帆さんのSNS
地域おこし協力隊宮本莉帆さん。インタビューには登場していませんが、横浜市から小鹿野町に移住し協力隊として活躍するひとりです。

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ライター:清水 泰斗

ライター。マンツーマンの日本語教師としても活動中。日本中の工芸やニッチな特産品の取材、アイヌ文化、サウナや銭湯、エスニックタウン、アンダーグラウンドカルチャー、マタギ文化などに食指。メディアもファストな時代ですが、ディティールを大切にする文章を書いていきたいです。

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