車が走れば、島の経済がまわる。西ノ島の観光を支える『どうぜんレンタカー』のシゴト【西ノ島特別インタビュー】
島根県 西ノ島町の観光において、観光客の移動手段・インフラである『どうぜんレンタカー』。港に出入りするフェリーを眺める抜群のロケーションに位置し、お土産店も併設しています。
SAGOJOでは2025年度より、西ノ島を舞台にした「旅×シゴト」マッチングをスタート。島内4事業者が参画するこのプロジェクトにて、どうぜんレンタカーでも旅人がシゴトをしながら島の暮らしを体感しています。
今回は、どうぜんレンタカー代表の亀澤林大朗さんに、島や旅人とのエピソード、SAGOJOでのシゴトについてお話を伺いました。
▷どうぜんレンタカーHP
移動手段を守ることは、島の経済を守ることにつながる
高校卒業後は大阪・名古屋で就職し、営業職やラーメン職人として働いた亀澤さん。転機となったのは、2011年の東日本大震災でした。津波に押し負ける漁船の映像を見て、自然の恐ろしさに鳥肌が立ち、地震の少ない隠岐への帰郷を意識するようになったと言います。
「40〜50代になってから戻るより、30代のうちに一度帰ってみて、合わなければまた本土に戻ればいい」。そう決意し、32歳で西ノ島にUターン。観光協会に就職し、10年間勤めた経験を活かして、現在のレンタカー事業へと歩みを進めたと言います。
――亀澤さんがレンタカー事業を始めたきっかけを教えてください。
レンタカー事業を始める前は、西ノ島町観光協会の職員として5年間働いていました。その頃から取り組んでいたのが『二次交通対策』です。フェリー乗り場から観光地・宿までの移動手段が不足していて、その解消が島の課題でした。
実際に、「ホテルとアクティビティの予約はできたけど、レンタカーが取れないからキャンセルします」という観光客の声が増えていて、何とかしなければという思いが強くありました。そんな折、どうぜんレンタカーの社長が西ノ島で新たに事業を立ち上げると聞いて、「ぜひ自分を使ってください」とお願いしました。そしてついに2021年、レンタカー事業をスタートさせることになりました。
――島にとってレンタカーが担う役割は?
島の人は、基本的に1人1台の車を持って生活しています。交通手段として、路線バスはありますが本数が限られていて、車がないと不便ですね。観光客にとっても同じで、観光地の摩天崖や通天橋など、景色の良い場所へ向かうには車がある方が動きやすいです。レンタカーがあれば、飲食店もいろいろと回れますしね。
島内の商店から「今日もレンタカーのお客さんが来てくれた」と聞くと、この島の観光を回すインフラとして機能していることを実感します。観光客は滞在時間が限られているので、レンタカーを使うことで効率的に島の魅力に触れてもらえたら嬉しいです。
――観光と地域経済の関係についてどう考えていますか?
島内の商店は一定の消費がないと経営が維持できません。島の外から人がやってきてくれると、食事をしたり、飲みに行ったり、働いたりして、消費が生まれます。島民だけでは消費できる金額も限られていますから、観光で来てくださる方による経済活動が地域にとって大きな力になります。レンタカーは島内の消費を循環させる役割もあると思っています。
旅人との出会いが、島に新しい縁を生む
――旅人にはどんなシゴトをしてもらっていますか?
レンタカーの受付や土産店の販売業務等もありますが、基本的には洗車をお願いしています。島内を走り終えた車は、泥や砂、時には牛のふん等で汚れて戻ってくるのですが、次に乗る方のために毎回ピカピカに掃除をします。
勤務時間は13時〜17時30分ですが、忙しいのはフェリー出港前後の2〜3時間なので、メリハリのある働き方ができます。午前中は休みなので、島の観光や自分の仕事をしてもらって構いません。
車の返却が始まるまでは、Wi-Fiをつないで自分の仕事をしてOKと伝えていて。洗車と自分の作業をうまく切り替えながら動けますし、業務は複数のスタッフでサポートしあいながら進めるので、安心してもらえたらと思います。
――旅人との印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
SAGOJOで来てくれる旅人って、皆さん本当にアクティブで、社会経験も豊富な方が多いんですよ。「え、こんなにすごい経歴の方が来てくれるの?」って思うんですけど、いざ会ってみたらとても気さくで、良い方たちばかりです。
なかには、海外に長く住んでいた方もいて。うちは観光地のど真ん中でレンタカー事業をやっているので、外国人のお客さんが来ることもあるんですよね。そういうとき、英語ができる旅人がいると本当に心強くて。「ちょっとお願いしていいですか」って声をかけたら、スッと対応してくれる。いやあ、本当に助かりましたね。
うちのスタッフとも自然と仲良くなってくれて、滞在が終わった後も連絡を取りあっている人がいますよ。そういう出会いが生まれることも、旅人を受け入れる嬉しさのひとつだなと思っています。
旅人とともに、島の観光の未来を描く
――亀澤さんの今後の展望や、旅人と今後やっていきたいことなどを教えてください。
現在18台のレンタカーが稼働していますが、今年中に台数を増やしたいと思っています。より多くの人に島の隅々まで足を運んでもらえたら嬉しいですね。将来的には中古車販売や宿泊施設の運営も考えています。隠岐は宿泊を伴う観光地なので、泊まれる場所が増えれば、来島者数も増える。宿泊が増えればレンタカーの利用も増える。セットで考えながら、島の観光や経済を回していきたいです。
事業を拡大していくとなると、島内で人手を確保するのはどうしても難しくなってくるんですよね。人口自体が減っていくなかで、外からこの島に来てくれる旅人がいるなら、やっぱりそういう方の力を借りたい。入れかわり立ちかわりであっても、来ていただけるだけで心強いなと思います。
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▷どうぜんレンタカーHP
▷昨年度の『どうぜんレンタカー』のシゴト