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捨てたアイディアは100個以上! 魚や果物を捨てず、地域と人と暮らしをつなぐ、すごい地域NFT『KIN-TOWN』第1弾ができるまで -『KIN-TOWN』制作インタビュー vol.3

公開日: 2024年3月20日

2024年2月2日に発売されたすごい地域NFT『KIN-TOWN(キントウン)』第1弾。北海道 中標津町 と 和歌山県 紀の川市を舞台に企画されたこのNFTは、保有することで地域のまだ知られざる魅力に触れることができます。

今回は、地域コーディネーターと、SAGOJOスクールで公募した旅人とともに企画を推し進めてきたクリエイティブ・ディレクターの舘 そらみ(だて・そらみ)さんと、プロデューサーを務めたSAGOJOのスガタカシが2つのNFTができた経緯を振り返り、改めてこのNFTの面白さを紹介します。

プロジェクトがはじまった当初は、地域のリアルと、旅人たちの考える「いいもの」にギャップがあった

――今回のプロジェクトでは、SAGOJOで公募した旅人と地域コーディネーターとともに、3カ月かけて地域NFTを作り上げました。振り返ってみていかがですか。

そらみさん:大変なことも色々ありましたけど、いいものができてホッとしています。NFTを購入された人にとって価値ある体験になることを、心から楽しみにしています。

――大変だったというのは具体的にどのようなことですか?

そらみさん:恥ずかしながら「地域NFTというからには、コーディネーターは地域の特性を活かした企画を作りたいだろう」という思い込みが私たちにあったんです。けれど、地域コーディネーターによっては必ずしもそう考えていないケースがあって。むしろ、それまでの地域になかったものという意味で、地域性からは離れたNFTを作りたいという考えもあったので、それをすり合わせるコミュニケーションには時間がかかりました。

スガ:地域コーディネーターが旅人と組んでNFTを作るというところまでは合意を得てスタートしたのですが、実際に地域に住んでいる人を巻き込むかどうかで考え方がわかれたこともありましたね。

そらみさん:どのくらい地域に影響を及ぼすのかのレベル感を合わせていくことも必要でした。こちらが「良い」と思っていることであっても、地域にリアルに生活している人にとっては受け入れ難いスピード感で物事を変えようとしてしまったことが問題になったことも。

スガ:どうしても外部からの働きかけによる変化って劇薬的なところがあって、急激な変化を伴いがちです。けれど、それでは地域ではハレーションを起こすこともあるんですよね。張り切って勇み足になりすぎてしまったところは、僕たちの反省点です。

紀の川の地域NFT「くだものおすそわけパスポート」は、こぼれ落ちている事象を経済化するために生まれた

――和歌山県 紀の川市の地域NFTは「くだものおすそわけパスポート」です。購入者はデジタルアートを受け取れたり、オンラインコミュニティに参加できたりするほか、紀の川のフルーツを2回「おすそわけ」してもらうことができます。

スガ:二瓶さんはこのプロジェクトを走らせる前から、NFTの使い方について当たりをつけていました。今はまだ紀の川において経済化できていない物事を経済の環のなかに取り込んでいくことが彼のテーマでした。だからそのための素材を予め構想して準備してくれていた。「おじいちゃん・おばあちゃん」がカギになるというのは当初から出ていたんです。

そらみさん:「健康」という軸もありました。でも何を話していても奥底の軸にずっと「フルーツ」があるんですよね。

――「おじいちゃん・おばあちゃん」というテーマはなぜ出ていたのですか?

スガ:紀の川のおじいちゃん・おばあちゃんは懐の深い人たちで。旅人たちを受け入れてくれる度量があるんです。かつ、彼らは自分たちの農業のことを知ってほしいという気持ちが強い。彼らが携わることが紀の川らしいコンテンツにつながるのでは……というのが、二瓶さんの直感としてあった気がします。

「おすそわけ」はコミュニティに属していないと発生しない

――なぜ「おすそわけ」をNFTのコンテンツにしたのでしょう?

そらみさん:きっかけは本当に偶然で。企画会議の合間の雑談で「おすそわけ」という言葉が二瓶さんの口から出てきたんですよ。「昨日、近所のおばあちゃんからみかんのおすそわけをいただいて」って。あまりにも自然なその感じに「あ、これじゃない?」と直感的に思いました。「おすそわけしてもらうから、ここに住んでいたらフルーツは買わないですよ」の言葉に「これが絶対に広げられる喜びだ」って。

スガ:都心に住んでいると、おすそわけをもらう機会ってそれほどないじゃないですか。おすそわけってコミュニティに属していないと発生しない。僕たちはまさにNFTでコミュニティを作りたかったわけだから、そらみさんの提案を聞いてこれは好相性だと思った。

そらみさん:私の知り合いに、旬の時期になると桃を1つおすそわけしてくれる人がいるんです。その人からのおすそわけ体験があったことが「これは素敵なものになるに違いない」という確信の源になりました。季節になると「今年も桃が来たよ」と連絡が来て、それを分けてもらう口実で会って近況報告をするんです。そしてその桃は、信じられないほど美味しく感じる。都会ではたった一つの桃が、人と人をつなぎ、喜びを爆発させるんだ、という実体験があったんです。だから、おすそわけは多くの人が「絶対に喜ぶはずだ!」と。

スガ:おすそわけはただのモノの受け渡しではなく、人の温もりも伝えてくれるんですよね。NFTってまだ理解しづらい、意識の高いものだって思われてしまう節があるけれど、『KIN-TOWN』ではそれを払拭していきたかった。そんなときに「おすそわけ」というワードが出てきて、これはいいテーマになると思いました。おすそわけにピンとくるような人たちがこの世界観にぴったりだとも。「くだものおすそわけパスポート」は実際にはモノが送られてくるんだけど、それだけじゃなく地域のよさを伝えられるNFTになったと思います。

そらみさん:二瓶さんは、NFTを通じて紀の川のおじいちゃん・おばあちゃんと接点を持ってほしいと最初から考えてこのプロジェクトを進めていました。それも一過性ではなく、継続的なつながりを作ることによって、NFTの保有者が新しい世界を持てるようなものにしたいと考えていたんです。私たちも旅人も一緒にそのための方法を考えていったところ、NFTの保有者が自分のなかのソフト面を強化できるものができあがったと思います。

中標津の地域NFT「最果ていきもの学校 漁師編」は、道東の漁師の考え方に触れながら、生きることを学べる内容に

――北海道 中標津の企画は、何度も企画が浮かび上がっては消えということが繰り返され、どうにか最終的に「最果ていきもの学校 漁師編」というNFTに落ち着きました。こちらのNFTは道東の漁師の世界を学ぶことができるもの、それにお魚がついてくるもの、漁師体験ができるものの3種類があります。

そらみさん:久保さんに提案前のものも含めたら、100個以上の企画を出しましたよ。大変でしたが、その分いいものになってよかった。最終的にこのような企画になったのは、道東で活動する漁師団体の「波心会(はっしんかい)」の取り組みが本当に魅力的だったから。漁に「命を懸けている」という言葉がスムーズに出てくる世界観とその並外れた技術力に圧倒されたんです。

スガ:このNFTは、魚を見る目が変わるきっかけになるものにしたいと思いました。普段の都心で生活をしていると、スーパーで魚を見ても、それがどんな海で獲れたのか、どのような漁法で獲られているのかなんて全然わからないじゃないですか。情報はどの都道府県で獲れたかぐらいに留まります。けれどそれってよく考えたらおかしなことで、歪な社会構造になっていると思うんです。どんな人がどのような工夫をしながら獲っているものなのか、まずは考えるきっかけになる状態を作りたかった。

そらみさん:波心会の人たちの話は知らないことばかりでした。例えば、彼らによれば、魚は海のなかでストレス過多な状態に晒されているんだそうです。だから波心会では、獲った魚のストレスを軽減した状態で出荷すると。こういうことって一般の人は全然知らないですよね。締め方や血の抜き方についても広くは普及していません。けれど、もしこういう話を知ったら、明日から魚や海、そして漁師、さらに食べ物への意識も変わると思ったんです。

スガ:紀の川でも、生産者がいかに新しい品種をつくるための努力を重ねているかという話を聞きましたが、現代では消費者が生産者のことを知る機会が本当に少ないんですよね。

そらみさん:毎日3食を食べながらそのことをまったく知らないなんて……。果物農家や漁師から生産者の思いや技を知り、その愛情の深さと覚悟を知ることは、私たちにとって本当の「食べる喜び」につながるはずです。

知られざる、魚の種類・獲り方・〆方・捌き方・味わい方を学べる

スガ:とにかく波心会の人たちは熱意があって、道東や魚のことを知りたいという人には本気で向き合いたいという意志を感じるんですよね。ある程度の気概をもって「知りたい」と思う人には本当にいいNFTになったと思う。

このNFTは漁師体験ができることはもちろん、魚が送られてくるプランもとても魅力的で。送られてくる魚には未利用魚が含まれているんです。せっかく水揚げしても数が少ない魚は、市場ルートが少ないため一般販売がなかなかできません。けれど、そのなかにも美味しい魚はたくさんある。それが送られてくることでまだあまり知らない魚を食べることができるんです。

そらみさん:〆方の異なる魚を食べ比べしてもらうこともできます。漁師の技術で魚の味わいがどう変化するのかを体験できますよ。Zoomで漁師に直接魚について教えてもらいながら、実際に身をもって魚の知識を会得できるというわけです。

「最果ていきもの学校 漁師編」は、道東という日本国内にありながら景色も文化も大きく異なるような地域を舞台にすることによって「生きること」の本質に近づくことができるのではないかと思っています。

脚本家が地域NFTの造成に携わった意味

――改めて聞きたいのですが、そらみさんにとって地域にかかわることの意味は、どういうところに感じているんですか?

そらみさん:地域に関わることって、すっごく面白いです。私は普段は脚本家としてドラマや映画や演劇の製作に携わっているのですが、頭のなかに常にあるのは「この世界にまだ無いけれど、あったらいいなというものを作りたい」ということです。相手に喜ばれるものだけでなく、まだ日が当たっていないところにスポットライトを当てるための作品を作りたいと考えています。

それが地域創生に関わることでも根っこの考え方は同じ。地域にかかわるときの方がより実世界への影響がダイレクトなので、面白さを覚えることもあります。

――なるほど、まだないものを作るという意味では同じことをしているわけなんですね。作品を作ったり地域に携わるときに、心がけていることはありますか?

そらみさん:ヒアリングや視察をするときには、見えるものや聞こえるものだけではなく、その奥にどんな思いが隠されているのかを考えるようにしています。現実世界を舞台として物語を紡ぎながら、光を当てる場所、影で隠す場所を考えるようにしているんです。

スガ:今回のプロジェクトは、旅人が関わることで外からの目線を取り入れることができました。そこに、新しい目線を用いて発見したものを結晶化できるそらみさんというプロフェッショナルが能力を発揮したことで、地域のなかだけではなかなか具現化できなかったことを形にできたと感じています。さらに人間としての「舘そらみ」のパワーも存分に発揮されていて。そらみさんが、視察中に見たもの聞いたことに対して目を輝かせて「この素晴らしいものの魅力を地元の人は本当にわかっているんですか」っていうことが、地域の人をやる気にさせたんですよね。人の心に火をつけるコミュニケーションをしてもらいました。

日常と非日常を継続的に接続する回路としてのNFT

スガ:今回は第1弾として2地域のNFTを造成しました。今後も地域と関係を継続的に築ける『KIN-TOWN』を作っていきたいと思っています。これまで見過ごされてきた地域と特別な関係を築けるようなものにしたい。普段の日常にもう一つの別の地域を取り込む回路のようなものを作りたいですね。

そらみさん:今回造成した2つのNFTは、持続的な非日常体験を提供できる企画になったと思っています。非日常が日常に接続して日々を豊かにしてくれるようなもの。ただの旅の経験って地域とのつながりを継続させることは困難なので、こうした仕組みがあると、好きになった地域とより密接に関わっていけますよね。

スガ:今回のNFTは学びがあって面白くてエモーショナルなものになったと思います。

そらみさん:多くの人に手に行き渡るのが楽しみ。ぜひこのNFTで非日常の世界が日常的にある生活を楽しんでほしいです。

KIN-TOWN「くだものおすそわけパスポート」概要

和歌山県 紀の川市では、豊かな自然がイチゴ、不知火、レモン、桃、柿、キウイフルーツなど多種多様なフルーツを生み出しているにも関わらず、その種類の豊富さがPRする商材を1つに絞れない難しさを生んでいます。また、味には問題がないにも関わらず、形が悪いなどの理由で流通しないフルーツの未利用品廃棄が課題となっています。

今回の企画では、紀の川の「バーチャルご近所(ネイバーズ)」になることで、日ごろ地元の人同士で行われている未利用品のフルーツおすそわけやコミュニティに、遠方にいながら参加できる権利をNFTとして販売します。

「未利用品のフルーツおすそわけ」は購入者の手元におすそわけが届くだけでなく、購入者が指定した知人や、子ども食堂に送付することも可能です。

デジタルアート

価格(税込)

共通 7,980円

購入特典

販売ページ

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KIN-TOWN「最果ていきもの学校 漁師編」概要

北海道 標津郡 中標津町が位置する道東エリアは、漁業・酪農を中心に一次産業が盛んな地域ですが、こだわりを持って活動している生産者であっても従来の一次産業流通においては「北海道産」の産地に括られてしまい、道東エリアのブランド化ができていない現状があります。

また漁業においては、そのおいしさに関わらず、魚の種類や見た目、大きさによって価格が決まることが多く、捨てられてしまう未利用魚の活用が、フードロスや環境資源保全の観点からも課題になっています。

今回の企画では、道東の土地や生産者の生業に関心を持っていただき、現地を訪れる人を増やすために、獲った魚をおいしく食卓に届けるまでの生産者の技術や未利用魚の活用方法、魚や海と向き合う姿勢を、中標津町の隣町:標津町の漁師団体「波心会」から学ぶことのできる権利をNFTとして販売します。

デジタルアート

価格(税込)

① 最果ていきもの学校 漁師編 学生証:2,980円

② 最果ていきもの学校 漁師編 お魚付き学生証:8,480円

③ 最果ていきもの学校 漁師編 漁師体験 & お魚付き学生証:24,980円

購入特典

販売ページ

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