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紀の川の農家さんからの「おすそわけ」。フルーツを通じて地域とつながるNFTはなぜできた? -『KIN-TOWN』制作インタビュー vol.1

公開日: 2024年3月20日

2024年2月2日、すごい地域NFT『KIN-TOWN(キントウン)』が発売されました。和歌山県 紀の川市 と 北海道 中標津町 を舞台に企画されたこのNFTは、保有することで地域のまだ知られざる魅力に触れることができます。

和歌山県 紀の川市発の地域NFTは「くだものおすそわけパスポート」。購入することで計2回、紀の川市 藤井の農家さんたちから旬のフルーツをおすそわけしてもらえるほか、コミュニティ参加者限定のイベントに参加できたり、農家の方々と交流を楽しんだりすることができます。

地域コーディネーターとクリエイター、SAGOJOスクールで公募した旅人によって造成されたこのNFTは、地域と人との新たなつながりを創出するものとなりました。

20部発行された第1弾のNFTは数日のうちに完売し、2月22日からは30部の追加販売がスタートしています。

このNFTによって実現したかったことや今後の展望について、現地コーディネーターとしてプロデュースに携わり、今後はプロジェクトオーナーとして活動する株式会社CASEの二瓶 直樹(にへい・なおき)さんにお話をうかがいました。

未利用品のフルーツを経済の流れのなかに乗せていきたい

和歌山県北部にある紀の川市は、大阪府と接しており、関西国際空港からは車で40分強というアクセス良好なロケーションにありながら、温暖で穏やかな空気の流れる地域です。年間を通して晴れの日が多く、気温も湿度も安定していることから農業が盛ん。とくにフルーツは生産量が多く、なかでも藤井という地域は、多品種少量生産の農家が年間を通じてさまざまな種類のフルーツを生産しています。

「藤井にいると、フルーツをお店で買うことはほとんどないんですよ。傷がついたり、サイズが規格に満たない果物は、おすそわけとしていただけるんです」

規格外であっても、藤井のフルーツの味は抜群。紀の川の日の光をいっぱい浴びて育っており、甘いジューシーな味わいを楽しむことができます。

しかしながら、農家さんが自らおすそわけできる量には限りがあり、これまで規格外となったフルーツの多くが廃棄処分されていました。これはとてももったいないこと。なんとかしてこの「未利用品」も経済活動の循環のなかに乗せられないかと二瓶さんは考えていました。

「関係人口の増加がカギだとわかっていた」。問題はあと一歩の仕掛け

二瓶さんはもともと高級ホテルの社員としてリゾートホテルの開発などに取り組んでいましたが、農地を望む土地に赴いたことで、日本の一次産業が直面する高齢化と担い手不足の深刻さを知ることになります。「この問題を解決しなければ、日本の土地や農業は大変なことになってしまう」。そう考え、全国各地の地域創生を担う株式会社CASEに転職。紀の川市に移住し、地域活性化企業人として活動を開始することになりました。

「地域創生を実現するためには、関係人口の創出がカギだということはわかっていました。SAGOJOとプロジェクトを進める前に、地元のイラストレーターが描いた作品を地域NFTにすることに挑戦してみたのですが、なかなかドライブしなかった。あと一歩、仕掛けが必要だったんです。そんなときにSAGOJOが地域NFTを造成するプロジェクトを開始するという話を聞き、一緒にやってみることにしました」

紀の川の魅力をどのようにNFTに編み込んでいくのか。SAGOJOで公募した旅人やリードプレイヤーとの取り組みが始まりました。

関係人口を増やすためには、地域の人と外部の人をつなぐことが大切

「皆さんとのミーティングを通じて、関係人口を増やすためには、紀の川の人と外部の人が互いの顔が分かる状態にすることが大切だと気づきました。通常、地域の魅力というとモノや観光地にばかり注目が集まりますが、これでは持続的な関係は築けない。それよりも『気になる人』がいる地域の方が、その地域のことがずっと頭の中に残るようになるんです。もしモノを使うのだとすれば、それによってコミュニケーションが促されるような状態を目指すのが良いと思いました」

二瓶さんが関係人口創出のための要素としてプッシュしたのは、紀の川のおじいちゃん・おばあちゃんたちでした。

「人生経験豊富なおじいちゃん・おばあちゃんたちは、懐が深くいろいろな人を受け入れてくれるんです。彼らとふれあったときの喜びは格別。田舎を持たない都会の人たちにとっても恋しくなる存在だと思いました。また、紀の川のおじいちゃん・おばあちゃんたちは人と関わることがとても好きで。どんどん人と関わろうとするので、最大限のおもてなしができると思ったんです」

「紀の川のおじいちゃん・おばあちゃんとの交流は、忘れがたい経験になるだろう。そしてそれはNFTの目玉コンテンツになるはず」。二瓶さんはそのような仮説のもと、現地視察に訪れた旅人たちを実際におじいちゃん・おばあちゃんに引き合わせます。そして実際に楽しそうに交流をする旅人たちを見て、仮説は確信に変わったのでした。

おすそわけをさらにおすそわけ。コミュニケーションの環が広がる設計

「おすそわけ」というテーマは、紀の川の人々の間で頻繁に生じているコミュニケーションがヒントとなって生まれました。二瓶さんと旅人が雑談をしていると、何度も「おすそわけ」という言葉が出てくることにクリエーターが気づき、これを活用できないかと考え始めたのです。

「一次生産者が多い紀の川では、おすそわけが暮らしのなかで当たり前にあるんです。モノが人の手を次々に回っていくカルチャーがある。このときに発生している事象は、ただのモノの受け渡しではありません。『あの人、元気にしているかな』と思ったときに、手ぶらでいくのも寂しいから何かを持っていくんです。おすそわけは相手を気遣う行為でもあるんです」

だからこそ、おすそわけは関係構築に役に立つ――。しかし、異なる文化圏で生活している人にはこの意味は伝わらないかもしれません。NFTの保有者と紀の川市の人々との関係をより色濃いものにするためには、おすそわけをもらった人が、一層深く紀の川のことについて思いを馳せるためのトリガーを仕掛ける必要があります。

「おすそわけするフルーツと一緒に、農家さんの写真やコメントを載せた手紙を同封するほか、紀の川のことをイメージしてもらえる取り分け用の袋をつけることにしました。おすそわけされたフルーツをさらにおすそわけしてもらえるようにしたんです。これによって、より多くの人に紀の川のことを知ってもらい、また思い出してもらえるようになると考えました」

おすそわけの先は自宅のみならず、子ども食堂に寄付をすることも可能。ソーシャルグッドなアクションにもつながるように設計されています。

また、「くだものおすそわけパスポート」は日頃の食がどこから来るものなのかを問い直すきっかけにもなっています。

「NFTの購入者は限定されたコミュニティに参加できる権限を用意しました。オンラインイベントやオープンチャットに参加することで、紀の川や農家のリアルを知っていただくことができます。農家の皆さんは、自分がどのように作物を作っているのか知ってほしいと思っています。フルーツにはそれぞれのルーツがあり、作り手がいます。その背景を知ることで、消費者側もよりフルーツを美味しく食べることができるのではないでしょうか」

ここから話が盛り上がれば、収穫体験や農業技術を学ぶ機会も提供したいと考えているようです。

旅人が感動する姿を見て、紀の川が持つ価値に確信を持つことができた

旅人と一緒にNFT造成に取り組むことのメリットは、他にもありました。

「NFT自体に非常に詳しい方々がいたのはとても助かりました。具体的に何をすべきなのかを彼らから学ぶことができたんです。また、旅人と一緒にみかん畑にいったときに、彼らの感情が動く瞬間を見たことで、紀の川にある価値を改めて知ることができました。紀の川のみかん畑は標高600mぐらいのところにあるのですが、絶景を眺めながらみかんをもいで食べつつ『なんて贅沢な時間なんだろう』と話している姿を見て、その価値に一層の自信を持てたんです」

二瓶さんの目には、旅人が農家の人の話を真剣に聞く様子は意外だったそう。おじいちゃん・おばあちゃんとのふれあいを本当に楽しそうにするシーンを見て、コンテンツの意義を明確にすることができたといいます。

「視察後、参加した旅人から『スーパーでみかんを見ると産地が気になるようになった』と連絡がきました。農家さんとの交流を通じて、紀の川が特別な地になってくれたんですね。ECサイトから紀の川のみかんを買ってくださった方もおり、持続的な関係を構築することの強さを感じています」

さらに、今回のNFT造成には10人ほどの旅人が携わることになったため、「大人数が関わってくれたことも大きなうねりを起こすための力になった」と言います。

「くだものおすそわけパスポート」は、新たな地域創生のあり方の先駆けとなるNFT

一方で、農家の方々にプロジェクトのことを理解してもらうのには苦労をされたそう。

「まだ商品の形がないなかで、NFTの概念を理解してもらうのは大変でした」

しかし、この「くだものおすそわけパスポート」はフードロスを削減するサスティナブルな取り組みになることを伝えると、賛同してくれる人が増え、理解者は増えていきました。一度NFTが人々に行き渡り、おすそわけが始まれば、地域の皆さんの理解はより深まっていくことになるでしょう。

二瓶さんが紀の川市 藤井のエリアで活動する「藤井の里くらぶ」という団体と交流があったことから、彼らの協力のもと、おすそわけ用のフルーツが集められることは決まりました。ふるさとプロボノを請け負う団体である藤井の里くらぶは、現役農家11名で構成されており、彼らとコラボをすることで農家さんの想いをより一層深く掘り起こすことができそうです。

「フルーツのおすそわけを通じて、新たな人とのつながりを感じてほしいですね。農家のリアルを知ってもらうこと、伝えることは、お互いを豊かにする行為だと思います。日頃都心で生活しているとなかなか耳にすることのない面白い話なども聞けると思うので、ぜひNFTを保有して、コミュニティに参加し、おすそわけを受け取ってほしいです」

ひいては、地域をブランディングし認知度をあげることで、さらなる関係人口の増加を考えているという二瓶さん。「くだものおすそわけパスポート」は新たな地域創生のあり方の先駆けとなっていきそうです。

ユニークで愛らしいNFTアートにも注目

「くだものおすそわけパスポート」のNFTアートを手掛けたのは、イラストレーター・いなもりあいこさん。長年児童福祉の仕事をしていたいなもりさんのイラストは、ユーモアと優しさに満ちていて、紀の川の温かい雰囲気がよく伝わってきます。

イラストは藤井エリアで作られている果物を組み合わせて構成されており、1枚1枚少しずつ異なる1点モノ。ぜひお気に入りの1枚を見つけてください。

KIN-TOWN「くだものおすそわけパスポート」概要

和歌山県 紀の川市では、豊かな自然がイチゴ、不知火、レモン、桃、柿、キウイフルーツなど多種多様なフルーツを生み出しているにも関わらず、その種類の豊富さがPRする商材を1つに絞れない難しさを生んでいます。また、味には問題がないにも関わらず、形が悪いなどの理由で流通しないフルーツの未利用品廃棄が課題となっています。

今回の企画では、紀の川の「バーチャルご近所(ネイバーズ)」になることで、日ごろ地元の人同士で行われている未利用品のフルーツおすそわけやコミュニティに、遠方にいながら参加できる権利をNFTとして販売します。

「未利用品のフルーツおすそわけ」は購入者の手元におすそわけが届くだけでなく、購入者が指定した知人や、子ども食堂に送付することも可能です。

価格(税込)

共通 7,980円

購入特典

販売ページ

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